シッターアプリ大手「キッズライン」で起きた ベビーシッター男児強制わいせつ事件の全容〈dot.〉

シッターアプリ大手「キッズライン」で起きた ベビーシッター男児強制わいせつ事件の全容〈dot.〉
AERA dot. 2020/5/3(日) 12:33配信

 コロナ禍で小学校の休校が長引くなか、親の仕事によってはベビーシッターを活用せざるを得ない家庭が増えている。そんな状況下で、男性シッターが保育中の男児にわいせつ行為をして逮捕されるという事件が発生した。容疑者はベビーシッターマッチングアプリの大手「キッズライン」を使用していたことから、利用者からは不安の声が上がっている。

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「こんな事件があったにもかかわらず、(運営会社の)サポートデスクからは何のアナウンスもありませんでした。『大事なわが子が被害に遭っていたら』と思うと、ゾッとしてしまいます。再発防止策などは一体どうなっているのでしょうか」(マッチングアプリの利用者)

 コロナ禍で長引く公立校の休校にともない、東京都をはじめ、各自治体でベビーシッターの利用が盛んになっている。

 そんななか、シッターと利用者のマッチングアプリを運営する「キッズライン」を舞台に、背筋の凍る事件が起こっていたことが明らかになった。

 4月24日、キッズラインに登録していた元ベビーシッターの男が保育していた5歳の男の子のズボンを脱がせて下半身を触ったとして、警視庁捜査一課に強制わいせつ容疑で逮捕されたと報道された。

「保育士の国家資格を持っている橋本晃典容疑者(28)がキッズラインに登録したのは、昨年7月のこと。事件が起こったのは、昨年11月14日の昼でした。普段、被害男児は保育園に預けていましたが、前日に発熱があり、両親は初めてキッズラインのアプリを利用。当日、男児宅のマンションに派遣されてきたのが橋本容疑者だったといいます」(社会部記者)

 当日の午前11時ごろ、父親は男児を橋本容疑者に引き渡し、出社。夕方に帰宅した際、男児から「パンツを脱がされて触られた」と身の毛がよだつ犯行を知らされたという。すぐに両親は警視庁中央署に相談し、捜査が進められていた。

「実は、橋本容疑者には複数の前科があり、今年の1月8日には別件の強制性交等の疑いで神奈川県警に逮捕されています。続いて2月25日には別件の強制性交等の疑いで同県警が逮捕。いずれも起訴されていますが、橋本容疑者は黙秘しています」(同前) 

 現在、東京都内で同様のマッチングアプリを運営する業者はキッズラインを含め、数社ある。なかでもキッズラインは登録シッター3千人以上、通算依頼数は100万件を誇る最大手だ。

 実はこの事件と思われる「トラブル」が、昨年11月中旬に一部SNSで騒ぎとなっていた。それを受け、同社はホームページの「お知らせ」の中で以下の文面を掲載していた。

<11/14(木)一部SNSにて、キッズライン利用者とシッターの間でトラブルがあった旨の情報があり、発覚時から情報収集に努めておりますが、現時点では、該当すると思われる事案の事実確認はできておりません>

 橋本容疑者の逮捕が報道された4月24日以降も、キッズラインは新たな情報は公開していない。

 なお、同社以外の2社はホームページで事件とは一切関係がない旨を記載し、「今後も皆さまに安心してサービスをご利用いただけるよう、尽力してまいります」などのメッセージを公開している。

 なぜ事件は起こってしまったのか。キッズラインに登録しているベビーシッターが次のように打ち明ける。

「キッズラインは登録するのが非常に簡単なんです。2、3時間の登録説明会と面談を行った後、2時間くらいの実地研修を行うだけ。保育士の資格を持っていれば審査に落ちることまずないと言われています」

 キッズラインは16年10月、小池都知事が「希望の塾」を開塾した際、託児スペース「きぼうのほいくじょ」の運営を託されるなど、小池都政と共に急成長を遂げてきた。需要増に応える人材確保を急いだ結果、橋本容疑者のような人物が紛れ込んでしまったのだろうか。 

 ある捜査関係者が明かす。

「実は、橋本の携帯電話の中には複数の男児の裸の写真が見つかっており、警視庁管内でも数件の余罪が確認されている。橋本は80回以上、シッターとして稼働しているといい、キッズラインの利用者の中に、さらなる被害者がいる可能性を視野に捜査を進めています」

 はたして、同社は今回の事件に対し、どう答えるのか。

 本サイトは、メールで「容疑者が逮捕されたことの見解」と「昨年11月時点で否定していた容疑者の犯行をいつの時点で認識したのか」「再発防止について対応策を講じるつもりはあるか」について質問したが、期日までに回答はなかった。

 メール送付後に電話でも担当者に取り次いでもらうように要請したが、オペレーターは「社員の連絡先は教えられない」「社員への連絡はいたしかねる」とのことで、回答は得られなかった。

 なお、橋本容疑者は男児に対して逮捕容疑よりも悪質な行為をした疑いもあるが、証拠不十分で強制わいせつ罪にとどまったという経緯もある。

 ネットを介したベビーシッターのマッチングは、キッズラインは事業者として、対応策も含めた説明を果たす責任があるのではないだろうか。(橋本浩史/AERAdot.取材班)

※後日、キッズラインから回答があればその内容を追記する。

 訪問保育中に男児(5)の下半身を触ったとして、警視庁は、東京都練馬区北町1丁目の無職橋本晃典容疑者(28)を強制わいせつの疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。
 橋本容疑者はベビー・キッズシッターと利用希望者をつなぐアプリに登録し、男児の両親から保育の依頼を受けていた。同庁は複数の子どもが性的な被害を受ける動画などを確認しているといい、橋本容疑者が同様の手口で低年齢の子どもに近づき、こうした行為を繰り返していたとみて調べる。
 捜査関係者によると、橋本容疑者は昨年11月14日、東京都中央区のマンションの男児宅で、男児の下半身を触るなどした疑いがある。前日にアプリを通じ、体調が悪い男児の保育を両親から請け負ったという。
 橋本容疑者は今年1月、小学5年だった別の男児に対する強制性交容疑で神奈川県警に逮捕された。当時は学習支援のボランティアとして、泊まり込みの勉強会に参加していたという。

 小学生の男子児童に性的暴行を加えたとして、神奈川県警宮前署は25日、強制性交の疑いで、東京都練馬区北町の無職、橋本晃典被告(28)=別の強制性交罪で起訴=を再逮捕した。「覚えていません」と容疑を否認している。
 再逮捕容疑は令和元年8月7日午前3時15分ごろから約15分間にわたって、川崎市麻生区の宿泊研修施設のトイレ内で、東京都渋谷区の小学2年の男子児童(8)に性的暴行を加えたとしている。
 同署によると、男子児童は同施設で2泊3日のサマーキャンプに参加しており、橋本容疑者はキャンプを主催する団体のボランティアスタッフだった。橋本容疑者は、子供の教育を目的とした複数のボランティア団体に所属していた。
 同年12月にも、ほかのキャンプに参加した小学5年の男子児童に性的暴行を加えたとして、同容疑で逮捕されていた。同署が押収した橋本容疑者の携帯電話には、児童のわいせつな画像や動画が多数残されていたといい、同署は余罪があるとみている。

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